2008.06.05 Thursday
今更ながらに 「序」 をやっと買って、やっと見た（ネタバレ？あり）
もう、色んな媒体や色んな場所で語りつくされた事柄ではあるが、私が思うに、エヴァンゲリオンと言う作品はそれまでのアニメの定義を一度にひっくり返した作品だったと私は思う。
文化やサブカルチャーには 「転換期」を示す作品や人間が出てくる。例を挙げるなら、プロレスは長州力、漫才ならダウンタウン、格闘ゲームならバーチャファイターと言う風に。
「永遠の同人軍団」 ことGAINAXが作り上げたこの作品は、日本のアニメーションのカテゴリで語るなら間違いなく歴史の一ページを飾る。 彼らはエヴァと言う素材を使い、過去に作られたロボット物を上手にリスペクトしつつ細かな情景や人間の内面世界にまで手を広げ、私を含めアニメ好きな大きなお友達の心を鷲掴みにした。見れば見るほどに深まる謎、そして解かれていく伏線。 そして登場する人物は全てにおいて人間関係に悩み、 「人を好きになるとは」 もっと言うなら 「自分とは何か」 と、苦悩する。 それは、思春期に入る子供たちが一度は考えるであろう心の問題に触れた初めてのアニメ作品であり、それがまた物語に深みを与える事となった。
……と、まあ固苦しく書いてみようかなあと思ったけれど、段々と面倒くさくなってきたので砕けた文体にして話をする罠。（あきらめるの早いなお前）
やっとこさ 「序」 を見たわけなんですけど、まあ…なんちゅうかね……。
いや、面白いのよ。うん。面白い。 私なんかは始終ニヤニヤしっぱなしだし。
映画にするという事で単なるダイジェストでは無く、新たな謎や、切り貼りではなくて元から全てやり直した絵やCG。 確かに釘付けにさせるだけのエッセンスはあるのよ。
でも、面白いと思うからこそどうしても難癖つけたくなっちゃうのだが……。
テンポ速すぎるだろ、これ。 いや、テンポが速いのが悪いとは思わないのだけど、私はテンポが速すぎるように感じた。（時間時系列って意味での事で）これを今回初見で見る人はこの映画で見た 「エヴァンゲリオン」 と言う作品を全体的に面白いと思ってくれるのかなあ。（まあ、今回の作品を見ようとする人は十中八九テレビ版を見てるだろけども）それと 「間」 が無さ過ぎる。
テレビ版で言うところの 「雨、逃げ出した後」 のくだり。
シンジがコンフォートに帰らず、当ても無く彷徨うのはいいわいな。その後テレビ版では一人サバゲーをしてるケンスケに会い、ボソボソと話すシンジに対するケンスケの外交的な人隣りが見て取れる貴重なシーンなのに、映画版はいきなしネルフの監視員に連れ戻され、しかもその後帰る事を踏み止まったシンジが駅でミサトさんと言葉を交わす 「ただいま」 「おかえりなさい」 のシーンもまるで始めから無かったかのごとくバッサリとカット。
おいコラ違うだろうと。
2時間弱という限られた時間の中に収めるとした時にどこを切ってどこを残す、という作業は必要なのはわかるのよ。 だけどね、ケンスケのあのシーンがあるからこそ見る側からすると 「ああ、ケンスケは単なる軍事オタクと強いやつにへつらう人間なんかじゃなくて普通にコミュニケーションを第三者ととることができるんだな」（ひでえ言い様） と思える訳なのよさ。
それが映画版になると、トウジが妹が怪我をした事に逆恨みしシンジを殴った後 「悪いね」 とシンジに話しかけるシーンだけで、その後トウジがシンジに殴れと言い、シンジが殴った時も別にフォローがある訳でもなし。
映画のクライマックスのシーンの前で、トウジとケンスケがシンジに電話にエールを送るだけのシーンじゃ話しにならないですわ。 見てる側からするとトウジはともかくケンスケは絶対トウジの腰ぎんちゃくにしか見えてこない。
え、今回書いてる事が支離滅裂でしかも長い？ そんな事はしらん！
「ただいま」 「おかえりなさい」 のシーンをカットしたのは何の意図があって切ったのか理解に苦しむ。
映画版では監視員に連れ戻されたシンジは懲罰房？でミサトに 「好きにしたらいい」 と半切れ気味に言われ、その後何も無かったように初号機に乗り込んでるんですよ。乗り込んでるわけなんですよ奥さん！
あのシーンは、今まで同じコンフォートに住んでいても今ひとつ馴染めず他人同士だった間柄が縮まり、やっとこれから 「家族」 としての第一歩を踏み出すという大事なシーンなんですよ。それをを無くすとは何事だ！（ちょっとマジギレ風味）
映画を見た私にしてみりゃ、このくだりが無いせいでテレビ版と言う下地があるにせよシンジとミサトはあくまでコンフォートに同居してる赤の他人、上司と部下と言う関係にしか思えず、「いきなり呼び出された14歳の中学生が、大人の同意も得られずに、いたずらに神経をすり減らしながら第三東京市で暮らすロボットアニメ」としか考えられないんですわ。ヤシマ作戦でミサトが「シンジ君は自分の意思でここに残って〜」とゲンドウに述べるシーンがあるけども、ウソくせ〜！あんな事言われたらそりゃシンジでも空気読むっての！ とか思っちゃうんですよ。
後なあ…、言いたい事幾らでもあるんだけどなあ……。セリフも新しく撮リ直してるのは分かるけども、何かその一つ一つに重みが感じられないとか、CGを多用しすぎてるからか迫力はあるけど、「アニメの絵」 として冷静にみた時 「そりゃCGだもん、綺麗になるわいな」 とか思っちゃったり……。
あ、いいシーンもあるのよ。
例えば、ヤシマ作戦の案を練るシーン。テレビ版ではミサト、リツコ、日向、青葉、マヤと言う風に主要なメンバーで構成されて作戦を出していたけど、今回はネルフの技術チームやら何やらで、押し合いへし合いの中で案を出している様に変更。
あそこはいい。
テレビ版の時は上層部だけで決めてる感が強く出てたのだけども、今回のシーンを入れ込む事によって 「ああ、ネルフは部署ごとにきちんと稼動してるのだなあ」 と言う、どういったらいいのかなあ…、 「生活感」 「雑多感」 というものが凄く出てて興味深く見る事ができたのですが。
まあ、キリが無いのでこれくらいで許してやるから勘弁してくれって話なのですが、（お前が好き勝手に書いてるだけだろうが） 最後のシ者こと 「ダブリス」 渚カヲルが意味深な言葉を言う辺り、この後の展開はどう考えても数あるエヴァファンフィクション （以下FF) でお馴染みの展開 「やり直し」（もしくはループ？もの） になるんだろうか。
まあ、カヲルのセリフ以前にミサトがシンジ連れて地下のホニャララの事をアレと呼んでたリとか、そうやって考えていくとコンフォートでのシンジを迎えてのくだりのミサトが言う 「はしゃぎすぎた」 と言うのも前があったから今回は…、と言う風にも考えられるのよね。
テレビ版が終わって長い年月の中でFFとして語りつくされ尽きた様な感じが強いのだけど、庵野監督がどう切り返してくるのか楽しみなところではあるので当然私も 「破」 は見ますよ。
そしてまた、好きだからこぞ今回のように難癖つけてやる（笑）。
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